トイレットペーパーロス
家のトイレットペーパーが切れた。
ちょうど洗剤も切れていたので、いつものようにネットスーパーで買うことにした。
妻に何か必要なものがないか聞くと「トイレットペーパー品切れしてるらしいよ」教えられた。
新型コロナウイルスの影響でマスクは手に入らない状況だが、デマでトイレットペーパーも仲間入りをしたらしい。
ネットスーパーの商品リストを見ると、マスクや手洗い用洗剤は欠品だが、トイレットペーパーは在庫有になっていた。
「トイレットペーパー大丈夫みたいだよ」
「ツイッターでデマが拡散されてるらしいけど、みんな信じなかったのかな?」
「沖縄はSNSやってる人が少なくて、デマが広がらなかったんじゃないの?」
「なるほど。それにしても、デマを拡散してる人は許せないわ。捕まえて刑務所に入れればいいのに」
「デマをうまく利用して、メルカリとかで稼ぐ人とかいそうだね」
無事に注文手続きを終えたので、明日の午後には自宅に届けられることになった。
~翌日の午前~
スマホに登録されていない番号が表示された。
取るとネットスーパーの担当者からだった。
「高宮様、申し訳ありません。トイレットペーパーを確認したところ、店頭から全て消えていてお届け出来ない状況です」
「えっ!!」
想定していない事態に、一瞬頭が真っ白になった。
家のトイレットペーパーの在庫は残り2個。
「ヤバい!トイレットペーパー無いって!」
早口で妻に伝えると
「葉っぱ使う?グシャグシャにしたらお尻拭いても痛くないらしいよ」
妻はキャンプ慣れしているせいか、妙に落ち着いている。
「俺は嫌!無理!!」
なんとしても探さなければ!
大手スーパーはおそらく全滅だろう。
そして、都心部のドラッグストアも買い占められて可能性が高い。
まずはダメ元で、近所のドラッグストアに電話をかけてみた。
「すいません。トイレットペーパーの在庫ってありますか?」
「トイレットペーパーですか?少々お待ち下さい」
担当の女性は怪訝そうな声をして、電話は一旦保留になった。
ドキドキしながら待つと、数十秒後に電話が繋がった。
「トイレットペーパーありますよ」
「すぐに行きます!」
外出の準備をしなから、妻にトイレットペーパーか見つかったことを伝えた。
「今、使いやすそうな葉っぱを調べていたのに・・・」
妻はがっかりした顔をして言った。
~近所のドラッグストア~
ドラッグストアに着くとまっすぐに、トイレットペーパーのコーナーへ向かった。
いつも購入している普通のトイレットペーパーは無く、残っていたのは「高級」と書かれたトイレットペーパーだけだった。
普通のものと比べて、価格は3倍、数量は3分の1になっている。
妻のセリフが頭をよぎる。
「葉っぱでいいじゃない?」
近所の公園に生えている木々を思い浮かべた。
生い茂る葉っぱを使えば、経済的にも環境にも優しい。
環境活動家として、生きていく時が来たのかもしれない。